2025.03.21
退職代行の利用で引き継ぎしないで辞めるための準備と注意点を解説
退職する際の「引継ぎ」は任意と義務どっちなの?引継ぎをしないとどんなペナルティがあるの?と不安に思う方もいると思います。
また、最近利用者が増えている「退職代行」では即日対応と謳っているが、引継ぎはできているのか、企業とのトラブルはないのか気になりますよね。
本記事では退職する際の引継ぎにどんなものがあるのか、退職代行を利用した際の引継ぎの流れや準備の重要性について解説していきます。
退職で引き継ぎは義務?
まず、はじめに退職する際に引継ぎ業務が必要なのかどうかについては、法律上では引継ぎ業務が義務であるとは明記されていません。
そして、退職をする2週間前に申し出をすれば、法律上退職することができます。
これは労働者の権利であり、原則企業側は拒否することができません。
しかし、労働契約時の内容や企業側に損失がでる場合は引継ぎを義務付けられているケースがあります。
ここでは退職する際に、どういった場合に引継ぎ義務が発生するのかについて解説していきます。
契約上、引き継ぎは義務の場合
基本的に企業側と労働者は採用が決まり、働かせてもらう際に雇用契約を結びます。
雇用契約の内容では労働条件や仕事内容、給料に関する内容、退職金の有無などの内容を取り決めます。
また、労働者が自由に退職できる権利をもっているのと同じように、企業側には「業務命令権」という権利が認められており、やってほしい仕事を命令できる権利を持っています。
労働者と経営者はその会社に所属している限り、その雇用契約を守らなければいけない義務があります。
その中で、引継ぎも業務として雇用契約に含まれているケースがあり、退職することが決定していても、正式な退職日まではその企業に所属していることになるので、雇用契約を守る義務が発生します。
この雇用契約を破ってしまうと退職金がなくなってしまったり、会社に損失を出してしまった場合、企業側から損害賠償請求されてしまう可能性があります。
なので、基本的には引継ぎが必要な場合は、引継ぎをしておいた方が損害賠償請求などのリスクがなく、安全に退職することができます。
退職代行利用で引き継ぎなしで辞めるための準備
先ほど解説したように引継ぎは雇用契約上義務になるケースが多いので、退職代行サービスを利用する際にも結局出社しなければいけないと思われるでしょう。
しかし、退職代行サービスを利用して退職する際には事前に以下のような引継ぎの準備をしておくことで、利用後に出社しない状況を作ることができます。
- 会社の情報は持って帰らない
- 会社の損失になる内容は事前にまとめておく
- 業務は基本的に終わらせておく
ここでは、退職する際に引継ぎなしで辞めるための準備について、それぞれの項目を詳しく解説していきます。
会社の情報は持って帰らない
顧客情報や連絡先、IDやパスワードなどは会社に保管しておきましょう。
会社の情報はパソコンに保存やメモしておき、紙ベースの資料などはデスクにわかりやすく置いておくとわかりやすいでしょう。
自宅に会社の情報を持ち込んでしまうと、退職する際に返却や引継ぎ事項の説明をしなくてはいけないので、上司と連絡したり出社を求められたりする可能性があります。
万が一自宅に資料を持ち帰ってしまった場合は、退職代行業者に依頼して、郵送などで送る旨を伝えてもらいましょう。
退職をする際に、なるべく関わりを持たないためにも、会社の情報は会社に置いておくことが重要です。
会社の損失になる内容は事前にまとめておく
先ほど、企業側に損失がでる場合、引継ぎをしておかないと、損害賠償請求をされる可能性があると説明しましたが、事前に損失になりうる内容のものはまとめておくことが重要です。
損失になりうる内容としては以下のようなものが挙げられます。
- 関係者の氏名や連絡先、名刺
- 取引先とのアポイントの状況
- 仕事の進捗やスケジュール
- 業務のフローや手順
- 業務に関する書類や資料
- パソコンのログイン情報やパスワードなど
それぞれがどういう状態でどこに保管されているのか詳細に記載しておくと、退職後に企業側から連絡がくるリスクも少なくなります。
余裕があれば、同期などに事前に話しておくと、よりスムーズになるでしょう。
業務は基本的に終わらせておく
自分に与えられた業務は最低限終わらせておくようにしましょう。
自分の担当業務を終わらせておけば、引継ぎ内容も少なくなり、事前に準備しておくものも減らせると思います。
長期的な仕事やプロジェクトを任されている場合には先ほど紹介したようにスケジュールや進捗がわかるような資料を作っておけば問題ないでしょう。
また、職種にもよりますが、新たな仕事を取ってくると引継ぎ業務もその分大きくなるので、安請け合いしないよう心がけましょう。
退職代行で引き継ぎしないで辞める際の注意点
退職代行サービスでは、依頼者の退職意思を代わりに伝えることをサービスとして行っており、引継ぎをしなくても退職できるケースがあります。
しかし、退職代行サービスを利用して辞める際に引継ぎをしないと、先ほど紹介しましたが、損害賠償請求や退職金が支払われなくなるなどのリスクもあります。
リスクを減らすためにも事前に準備しておくことや注意点があります。
ここでは引継ぎに関して、退職代行サービスを利用する際に注意すべきポイントを解説していきます。
以下の点に注意して、退職を検討することが大切です。
- 会社に損失がある場合は損害賠償リスク
- パスワードなどはすべてメモして会社に保存
- 引き継ぎが必要な内容は事前に引き継ぐ
- 引き継がないと退職金の支払いが遅れる場合も
会社に損失がある場合は損害賠償のリスク
先ほど紹介したように企業側に損失がある場合、引継ぎをしないと損害賠償を受ける可能性があるため、引継ぎをしないで退職するのは危険です。
例えば納期が迫っている仕事を引継ぎをせずに投げ出したり、進めていた商談を放棄したり、依頼された仕事を引継ぎをせずに退職するなど、企業に利益がでる予定だったものがなくなるケース。
そして、外部に会社の悪口を言ったり、企業にとって不利益な情報を漏らしてしまうとイメージダウンにも繋がり、損失とみなされるケースがあります。
仕事によって異なりますが、顧客情報や社内機密である情報を外部に漏らすことは基本的にNGです。
進めていた仕事の進捗状況や自分が担当していた業務、顧客の情報は社内に共有しておくか、データあるいは資料にして、事前にまとめておきましょう。
また、退職代行サービスを利用して、退職する際に引継ぎができていなかった場合、依頼先の退職代行業者に相談し、必要な情報を共有することも大切です。
パスワードなどはすべてメモして会社に保存
自分で引継ぎを行わなくても、企業側が引継ぎに必要な情報を得られるように準備しておくことも重要です。
例えば、社内システムのログインに必要なIDと自分で決めたパスワードなどがあれば、会社の人がわかるようにメモをしておきましょう。
Gmailアドレスの情報を会社のパソコン内に入れておけば他の人がメールの履歴を追って進捗状況を確認することもでき、自分で行う引継ぎの量も減ると思います。
また、複雑な情報や自分しかわからないような情報であれば、誰が見てもわかるように記載して、まとめておきましょう。
引き継ぎが必要な内容は事前に引き継ぐ
退職代行を使って退職する際に有給消化することで出社せずに退職することができ、実質即日退職が可能になります。
ですが、引継ぎが完了していない場合、会社から出社して引継ぎをして欲しいと連絡が来る可能性があります。
そのためにも、引継ぎ業務を先に行っておくことが重要です。
しかし、退職代行サービスを利用する場合、退職を伝えていない上司や引継ぎ先の人に引継ぎをお願いすると、「退職するの?」「どうして引継ぎをしているの?」と悟られてしまう可能性もあり、気まずい空気になってしまうでしょう。
せっかく退職代行サービスを使うのであれば、出社している間はばれたくないですよね。
その場合は退職の相談ができる同期に事情を説明して引継ぎをしたり、資料にまとめてわかりやすい場所に保管しておくと良いでしょう。
退職代行に依頼して有給消化して即日退職に関する内容は別記事でも詳しくまとめていますので、合わせて参考にしてみてください。
引き継がないと退職金の支払いが遅れる場合も
上で紹介したように引継ぎをしないと退職金の支払いが遅れる、またはないものとして扱われる可能性があります。
退職金の支払いは法律上では義務付けられていないため、雇用契約時に「退職金あり」という取り決めがされていれば、退職金が発生します。
ほとんどの企業は退職金に関して条件付で退職金を支払うことが多いです。
その条件の中で引継ぎが完了しないと退職金がでないという契約であれば、企業側は引継ぎができていないのであれば、退職金を支払う必要がありません。
また、退職にあわせて有給消化をしても引継ぎが完了していない場合、正式な退職日まではその企業に所属している扱いになるため、上で説明した「業務命令権」を行使することで出社して引継ぎ業務を行ってもらうことも可能なのです。
そのため、トラブルや出社回数を減らすためにも、引継ぎを事前に済ませておくことは非常に重要なのです。
会社から連絡なしで安全に退職するために
ここまで、引継ぎに関する基礎知識や注意点について解説していきました。
中には引継ぎができていないことを理由に会社側から連絡がきたり、先ほど紹介したように出社をしなくてはいけない状況になる場合があります。
せっかくお金をかけて退職代行サービスを利用しているのに、また会社の人と連絡を取ったり、顔を合わせるのは嫌ですよね。
なので、ここでは安全に円満退社するために以下のポイントについて解説していきます。
- 交渉可能な退職代行を利用する
- 情報は事前にまとめて退職代行側に依頼
- LINEや電話のブロックはしない
交渉可能な退職代行を利用する
退職代行サービスには主に民間業者、労働組合、弁護士の3種類の運営元が存在します。
その中でも、引継ぎの内容を伝えることができる、有給消化の交渉ができる、退職日の交渉ができるところに依頼をすることが円満退職するためにも重要です。
結論として、上記のような交渉ができる運営元は労働組合と弁護士監修・運営の退職代行サービスの2種類になります。
退職意思の伝達 | 会社との交渉 | 法的トラブル対処 | |
---|---|---|---|
民間企業 | 〇 | × | × |
労働組合 | 〇 | 〇 | × |
弁護士 | 〇 | 〇 | 〇 |
上記の表はそれぞれの運営元が対応できるものを表したものになります。
民間業者は退職の意思を伝えることはできますが、交渉は法律上禁止されています。
理由として、退職代行サービスを行ううえで、弁護士資格を持たない第三者が代行で交渉することは「非弁行為」と呼ばれ、弁護士法に違反することになるからです。
そのため、会社側に退職を拒否されてしまった場合や有給消化の申請を拒否されてしまった場合、交渉することができないため退職に失敗したり、即日退職ができないリスクがあります。
労働組合は簡単に説明すると、自分の所属している会社に労働組合がない労働者たちが労働環境を改善するために集まった団体です。その団体が退職代行サービスを行っているということになります。
弁護士はいませんが、法律で「団体交渉権」というものが認められているので、交渉が可能となります。
しかし、弁護士に比べ、法律に強いわけではないので、イレギュラーな法的トラブルには対応できないケースがあります。
労働組合の退職代行サービスの中には弁護士が監修しているものもありますので、法的トラブルや法律に関して聞きたい場合は、弁護士監修の労働組合がおすすめです。
弊社「イマスグヤメタイ」も弁護士監修の退職代行サービスになります。
弁護士監修・運営は退職代行サービスにおいて対応できないことはほぼないでしょう。
基本的に相談すれば、法律に則り悩みを解決してくれるはずです。
また、企業側も弁護士からの退職通知が来た場合、大事にはしたくないので、スムーズに了承してくれるケースもあります。
それぞれの価格帯もそこまで大きな差はないので、失敗するリスクを取るよりは運営元を選んで依頼した方が良いと思います。
民間業者 2万円~3万円ほど
労働組合 2万円~3万円ほど
弁護士監修・運営 3万~10万円ほど
以上の理由から退職代行サービスを利用する際は労働組合、弁護士監修・運営の退職代行サービスを利用することを強くおすすめします。
情報は事前にまとめて退職代行側に依頼
「事前に引継ぎをする重要性はわかったけど、もうすでに会社で引継ぎができなくて、同僚にも話せなかった」
という人もいると思います。
その場合は依頼する退職代行業者にそのことを相談し、そのうえでどの場所にどの情報があるのか、資料の保管場所や閲覧する為のパスワードなどを設定している場合は詳細に伝えましょう。
また、取引先のアポイントや仕事の進捗状況も引継ぎができない場合、退職代行業者に伝えることで、そのまま会社側へ伝えてくれます。
また、基本的にどの退職代行業者でも会社側から依頼者へ連絡することがないように伝えてくれるので、何かあったときには退職代行業者を介してやり取りすることも可能です。
LINEや電話のブロックはしない
先ほど紹介したように会社とのやりとりは基本的に退職代行業者が行ってくれるので、依頼者は会社から連絡が来ても対応する必要はありません。
中には、電話に出るまでずっと連絡してくる嫌がらせのような行為をしてくる悪質な企業もいます。
しかし、だからといってLINEをブロックしたり、着信拒否をしてしまうと
「引継ぎをしないと退職金を払わない」
「今月分の給料は振り込まない」
などの嫌がらせを受ける可能性があります。
もし、そういった状況になった場合は落ち着いて依頼した退職代行業者に連絡してその状況を伝えてください。
そうすることで、退職代行業者から会社側へ「これ以上連絡しないでほしい」と伝えてくれるので、追加で連絡が来ることはないと思います。
ですが、できればこういった状況になる前に、しっかりと引継ぎ資料の作成や引継ぎを行っておくことが重要です。
引き継ぎ作業を事前に行っておけば、会社側から連絡がこない状況を作ることができます。
まとめ
本記事では引継ぎに関する情報や退職代行を使って引継ぎをする方法などを紹介しました。
何度もお伝えしていますが、事前にできる引継ぎはやっておくことが大切です。
自分にとって、面倒なことが避けられるのはもちろんのこと、企業側にとっても、引継ぎをしないで急に辞められてしまうと大変だと思います。
せっかく今まで頑張ってきたのに引継ぎをしなかったせいで、退職金がなくなるのはもったいないです。
引継ぎができなかった部分に関しては退職代行業者に伝えていれば大丈夫だと思うので、自分でできる限り引継ぎをしておいた方が良いでしょう。