2025.03.07
退職代行を使うなら有給消化すべき理由と注意点や依頼の流れを解説
「退職代行って有給消化の申請はできるの?」
「どうせ辞めるんだから有給はどうでもいいか」
など退職をする際に残っている有給休暇の使い道に悩みや不安を持っている人も多いと思います。
本記事では退職代行サービスを利用しながら、有給休暇の活用方法や有給休暇の重要性、活用することでどんなメリットがあるのかについて紹介・解説していきます。
有給休暇の基礎知識
まず前提として有給休暇とはアルバイト・正社員などの雇用形態を問わず、一定期間同じ企業で働いていた従業員がゆとりのある生活を送れるように付与することが法律で定められた休暇のことです。
取得しても減給されない休暇で正式名称は「年次有給休暇」といいます。
そしてこの有給休暇の消化は一定期間業務に従事した労働者に与えられた権利であり、企業側に拒否権はありません。
もし、正当な理由なく労働者の有給休暇の消化を拒否した場合、企業に対して、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。
そして、ここでは以下のような有給休暇に関する基礎知識を紹介していきます。
- 有給休暇の条件
- 有給休暇の繰越計算
- 有給休暇日数の確認方法
それでは、有給休暇について詳しく解説していきます。
有給休暇の条件
一般的には全勤務日数の8割を出社しており、なおかつ6か月以上同じ企業で勤務していれば10日間の有給休暇の付与がされます。
また、勤続年数によって付与される日数が増えていきます。
勤続年数 | 有給休暇の付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年以上 | 20日 |
上記の表は勤続年数に対して付与される有給休暇の日数を表したものです。
6.5年以上働くと最大で20日間の有給休暇の付与がされます。
パートやアルバイトの場合、勤務日数が少ない為、有給休暇の付与がないと思われがちですが、週の労働日数が4日以下、かつ週の労働時間が30時間未満の場合でも有給休暇の付与が認められており勤続年数に対して付与される日数は以下の通りとなります。
週所定労働日数 | 勤続年数(0.5年) | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給休暇の繰越計算
有給休暇は翌年に繰り越しが可能です。
当年に付与された有給休暇を消化しきれなかった場合は、一部翌年に繰り越せますが、翌々年には繰り越しができないので、注意が必要です。
例えば、昨年度は10日の有給休暇が付与されたが、6日分しか消化ができなかった場合、今年度は余った4日分と来年度付与される11日分を足して15日分の有給休暇を取得することができます。
つまり、繰越日数=昨年度の消化できなかった日数+今年度付与される日数 と表すことが出来ます。
しかし、一昨年の有給休暇は繰り越せないので注意してください。
有給休暇日数の確認方法
有給休暇を消化するためには残りの日数を把握しておく必要があります。
確認方法はいくつかあり、まずは以下の3つの方法で確認してみましょう。
- 給与明細に記載されているか確認する
- 勤怠管理システムで確認する
- 会社の労務担当に確認する
もし、上の3つの方法ができない状況なのであれば、自分で確認するしかありません。
先ほどの表を使って、自分が付与された日数と消化した日数を確認し、算出しましょう。
勤続年数 | 有給休暇の付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年以上 | 20日 |
例えば5年半勤めていれば18日分の有給休暇の付与があり、6日分使っていれば残り12日です。
また、昨年に消化できなかった有給休暇が5日ある場合、今年の有給休暇は残り17日となります。
退職代行に依頼して有給消化するメリット
ここまで、有給休暇の基本的な情報や特性について紹介しましたが、退職代行サービスを利用して有給休暇を消化することも、もちろん可能です。
逆に有給消化をしないと損をしてしまうこともあるので、ここでは退職代行サービスを利用して有給消化することで、どんなメリットがあるのかについて紹介していきます。
退職代行サービスを利用して有給消化をするメリットは以下の通りです。
- 依頼して即日から出社しなくて良い
- 退職代行に依頼して有給消化すれば手取りアップ
- 会社とやり取りせずに有給消化が可能
それでは、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
依頼して即日から出社しなくて良い
法律では退職を申し入れてから2週間すれば会社の承諾がなくとも会社を辞めることができます。(民法627条)
なので、退職代行サービスを利用して、退職の意思を伝えることが出来ても2週間出社しなければならない可能性があります。
しかし、2週間分の有給休暇が残っていれば、退職日までその有給休暇を使い出社しなければ、もう会社に行く必要がないので、実質的な即日退職が可能になります。
この方法を使うには退職代行業者に退職意思の伝達と有給休暇の消化も依頼しなければなりません。
退職代行に依頼して有給消化すれば手取りアップ
有給休暇の基礎知識でもお伝えしましたが、有給休暇は使っても給料から減給されない休暇という特徴があります。
簡単に言うと休んでもその分のお給料は減額されないということです。
上で紹介した方法で退職をした場合も同じで、退職日まで有給を使い、出社しない状態でも会社に属していることになるため、しっかり給料は発生します。
つまり、有給をすべて消化することが出来れば、普通に退職するよりも手取りが大きく増えるということです。
逆に消化しきれずに退職してしまうと給料から休んだ日数分減給されてしまうので、注意しましょう。
会社とやり取りせずに有給消化が可能
通常であれば、有給を使うためには会社の上司などに報告し、申請する必要があります。
ですが、退職代行サービスの利用を考えているということは、有給を取りずらい職場環境にいたり、有給申請を拒否されることが予想されるなど、有給消化のハードルが高い、もしくは困難なケースも多いと思います。
退職代行サービスを利用する際に、退職意思の伝達と有給消化も同時に依頼をすれば、自分の代わりに退職代行業者が会社へ伝えてくれるので、自分の精神的負担もかなり軽くなると思います。
退職代行を使って有給消化する流れ
先ほど、退職代行サービスを利用して有給休暇を消化するメリットを紹介していきました。
次に実際に退職代行サービスに依頼する際にはどのような流れになるのか解説していきます。
依頼から実行までの流れとしては以下の通りです。
- 有給休暇の日数を確認
- 退職代行サービスに依頼
- 退職代行の費用を支払う
- 希望など必要情報を伝える
- 退職代行業者があとはやり取りしてくれる
準備しておくもの、業者に伝えておくべきことなども紹介しているので、事前に確認しておきましょう。
それではそれぞれの流れについて詳しく解説していきます。
有給休暇の日数を確認
まずは自分の有給休暇の残り日数を確認しておきましょう。
退職代行業者からヒアリングの際に聞かれると思います。
即日退職を実現するためにも14日分の有給休暇が残っていることが好ましいですね。
確認方法については上で紹介、解説しているので、ぜひ参考にしてください。
退職代行サービスに依頼
有給休暇の残り日数を確認することができたら、次は退職代行業者を選びましょう。
業者選びの際に重要なポイントとしては、それぞれの業者で対応できる範囲が違うので、自分の対応してもらいたいことができる業者を選びましょう。
後ほど説明しますが、有給消化をするには有給消化の交渉ができる退職代行業者の方が良いです。
有給消化の交渉ができるのは労働組合、弁護士監修・運営の退職代行サービスになるのでこの2種類の中から選ぶことをおすすめします。
無料相談を行っているところも多いので、複数社で相談してみて、自分の条件に合うところを探してみるのがおすすめです。
退職代行の費用を支払う
無事依頼したい退職代行業者が決まったら、有給を消化して退職をしたいことを相談し、話し合いの結果、その業者、契約内容で良いと思ったら料金の支払いを行います。
主な支払い方法は振り込みかクレジットカード払いになりますが、中にはコンビニ決済や電子マネーを使えるところもあるので希望の支払い方法で依頼しましょう。
また、後払いに対応している退職代行サービスもあるので、お金に余裕がなくても安心です。
希望など必要情報を伝える
担当者からヒアリングがあるので希望や必要情報などを伝えましょう。
主に伝えるべきことは以下の通りです
- 退職希望日
- 有給休暇の残り日数
- 勤続年数、雇用形態
- 会社に連絡する日時
- 備品や私物の返却の有無
- 会社名、所属部署名、電話番号
- 依頼者の基本情報(氏名、住所、生年月日、電話番号)
わからないことがあれば、退職代行サービスの担当者に相談しましょう。
また、改めて有給消化をしたうえで、退職をしたい旨を退職代行業者へ伝えることが重要です。
退職代行業者があとはやり取りしてくれる
ここまで来たら、あとは退職代行業者に任せて大丈夫です。
希望した日時に退職代行業者が会社へ連絡をし、依頼者が有給消化したうえで退職をすることを伝えてくれます。
この時に会社側から依頼者へ連絡が来るかもしれませんが、基本的に退職代行業者が依頼者へ連絡しないように伝えてくれるので、無視して大丈夫です。
必要であれば退職代行業者が仲介して連絡を取ってくれるので安心してください。
あとは退職代行業者の完了連絡が来たら、離職票や源泉徴収票などの必要書類を郵送で受け取り、備品の返却などをして、無事退職完了です。
退職代行の利用で有給消化する際の注意点
これまで、有給消化の重要性や退職の流れについて紹介していきました。
最後に退職代行の利用で有給消化する際の注意点についてお伝えしていきます。
注意点は以下の通りです。
- 有給があるなら消化して退職する
- 労働組合や弁護士監修、運営の退職代行を使う
事前に有給消化をしたい旨を伝えそこなってしまったり、業者選びに失敗すると有給消化できず損するケースもあるので、注意点についてもしっかり把握することが重要です。
それでは、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
有給があるなら消化して退職する
上でもお伝えしましたが、有給休暇はその名の通り、給料を減額せずにお休みができる制度です。
そのまま同じ会社に属しているのであれば無理して早めに消化する必要はありませんが、退職をするとなると残っていた有給休暇も消滅してしまいます。
つまり、そのまま退職してしまうと本来もらえるべきだった給料も失ってしまうことになるので、退職する際はしっかりと有給を消化しきった方が絶対に良いです。
何度もお伝えしていますが、それほど重要なことなので、退職代行サービスに依頼する際には必ず伝えましょう。
労働組合や弁護士監修、運営の退職代行を使う
次に業者選びの際に注意していただきたい点は「有給休暇の交渉ができる業者」を選んだ方が良いということです。
結論からいうと労働組合、弁護士監修・運営の退職代行サービスを利用することを強くおすすめします。
退職代行サービスには主に民間の退職代行業者、労働組合、弁護士運営・監修の3つの種類があります。
3つの主な違いは対応できる範囲と料金に差があります。
退職意思の伝達 | 会社との交渉 | 法的トラブル対処 | |
---|---|---|---|
民間業者 | ◯ | ✕ | ✕ |
労働組合 | ◯ | ◯ | ✕ |
弁護士 | ◯ | ◯ | ◯ |
上記の表はそれぞれの業者が対応できる範囲を表しています。
例えば、民間業者は退職意思の伝達はできる(〇)が、会社との交渉と法的トラブルの対処ができない(×)ということになります。
対して労働組合は退職意思の伝達、会社との交渉ができますが、法的トラブルの対応に関しては専門家ではないため、対応が難しいです。
弁護士はすべての項目に対応ができ、依頼すれば未払金の請求や、パワハラなどの被害に対する訴訟も可能です。
ではなぜ民間業者は「有給休暇の交渉」ができないのか?
それは弁護士資格を持たない企業が法的な交渉を行うことを禁止されているからです。
もし、交渉をしてしまった場合、「非弁行為」として弁護士法に違反することになります。
では労働組合も民間業者同様に弁護士資格がないのになぜ交渉ができるのか、それは労働組合法で「団体交渉権」というものが認められているからなのです。
つまり民間企業に依頼をした場合、有給休暇を消化できないリスクがかなり高いです。
もちろん、絶対にできないというわけではありません。
ですが、それは民間業者から「依頼者の有給消化をさせて欲しい」というお願いを一方的に伝えることしかできず、断られてしまった場合には何も言い返せないのです。
そのため、労働組合や弁護士監修・運営の退職代行サービスを選択することを強くおすすめします。
まとめ
本記事では退職代行サービスを利用して有給消化する方法や流れについて紹介してきました。
中には退職する際に会社側の嫌がらせで有給消化を拒否する企業も少なくないと思います。
会社側からの圧力で有給消化の機会を逃してしまうのは本当にもったいないです。
仕事を変える、脱サラするなど様々な理由があるとは思いますが、新生活の資金に充てることもできると思います。
基本的に業者選びに失敗しなければ、損することもないと思うので、本記事で紹介したことを参考に業者選びをしましょう。